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逃避にみえることがすごい前進だって確信して生きてる。
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この世に生を受けたからには、生き抜くと。
そう、決めたのだ。


今生紺青のひかり



けれど一方で、そもそも自分の今の生活は人として、い着ているといえるのだろうかとそもそもの疑問に話が戻る。生き抜かねばならない。それは私の中でひしと確認されたものであるとはいえ。自分が、生きた生活をしなければそれは結局そもそも無意味な話だ。

このようなことを考え私が黙っていたので、お客は首を傾げ、不思議かつ不機嫌そうな顔で私に一瞥をくれた。その表情で私もはっと我に返る。いけない。今は仕事中だ。いや、その仕事について、その正当性、いや自分いとっての必要性について考えていたのだが―心の気まらぬこのうちは、まずは目の前の仕事に集中しなければならない。こうと決めた事を全うしなければ。いつだって何だって、やることは真剣でいなければ。

取り組むことも、逃げることも



失礼しました、と深々と頭を下げ身体をすっと寄り添わせたら客は簡単に機嫌を直してくれた。私はこのような者を見ても決して馬鹿になどしたりしない。
今は、だ。昔はなんて男とは単純な生き物なのだろうと随分奢り昂っていたものだ。だが今はそんなことはない。それは別に私が慎み深くなったというわけではない。もっと簡単で、悲しいことだ。私はもはやそのような感情を思うこともない程に、この仕事になれてしまったのだ。
ああこの人は怖ろしく狼のような人だ、とも、この人はよからぬことを考える事もなくただ私と話をするためにこんなところまで通っている、他の人とは違うのだなとも、何ももう思わなくなった。この人がどうとかあの人がどうとか、全く考えなくなった。考えるのはただ、目の前の客にどうやってなるたけ多くの金を払わせるかということのみだ。

そんなことを寂しく思いながら、私は隣に横たわる男の顔を何となくぼうっと眺めていた。整った顔立ち。大層女に見初められるのではなかろうか、と思う。このお客は金を多く置いていく。ちょっと言う事をきけば小遣いくらいあっという間だ。―しかし綺麗な髪。女の私でさえ羨ましくなる。ところで―そこで男の腕が私を包んだ―この人はなんという名前だったか。

私はあるまじき失態をおかしかけている。客の名前が思い出せない。
このような仕事だし、そもそも自分の馴染みの客。名前が思い出せないなどありえない。しかし、思い出せないものは思い出さないのだ。いや、幾つか候補はあがっているのだが…

どうでもいいだろう。
私がこの客をただの客としてしか見ていないようにこの男も、たとえば私の名前に、興味なぞないのだ。この男のみているものはただの2本の手と脚、それだけだ。


死んでいく
そんな気がした。このままでは、こんな日々のままでは、私は死んでいく。いや今も死んでいっている最中なのだ。唐突にそんな事を思った。
ここに来てから、私は数度死のうとした。そして決行したことは一度もなかった。怖かったのだ。死ぬことが。
そして今はそのようなことは考えない。もう二度と。
私は生き抜く。そう誓ったのだ。





だめだ。もう未完しか出来ない。いいか、いいや!
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