しまった、と思った。
やっぱり朝からじっくりと時間をかけて可愛らしい服のコーディネートを選び出し気合入れてメイクをして、カラオケにでもショッピングにでも行くべきだった、と後悔した。
24時間も経たない、十数時間もすれば私はここよりずっと遠くて、温かくて、煌びやかなところにいるんだ。こんな誰もいない家の自分の部屋に一人で閉じこもっているわけじゃなくて、もっとたくさん人がいるところに。こうして、コタツに入って本の世界に入り込んで身体を動かすんじゃなくて、実際に、この2本の手と脚を思い切り動かして、外の空気を思い切り吸うんだ。
信じられない。
本当に十数時間でそうなるのだろうか。
私にはどうしてもそうは思えなかった。およそさっきまで読んでいた本の世界みたいに、それは自分の空想でしかないように思えた。私にとってそれは、どうしても非現実なままだ。
本当は、こうしているのが自分なんだろうな、と唐突に思う。
最近の日々はまるで魔法みたいで自分でも自分はこんな風だったかと疑ってしまうほどだ。私を見てくる皆の目は、とても綺麗でにごったところなんてどこにもなく美しくて、そして甘ったるい。
それが幸せなことであるかと言えば何とも言えない。
けれど間違いなく、私は飲み込まれかけている。
私の現在に。どうしようもなく、確実に。
そっと読んでいた本の表紙を撫ぜてみる。
買ったばかりなのに既にちょっぴり汚れたそれは、いかにも本当の私らしかった。
やっぱり朝からじっくりと時間をかけて可愛らしい服のコーディネートを選び出し気合入れてメイクをして、カラオケにでもショッピングにでも行くべきだった、と後悔した。
24時間も経たない、十数時間もすれば私はここよりずっと遠くて、温かくて、煌びやかなところにいるんだ。こんな誰もいない家の自分の部屋に一人で閉じこもっているわけじゃなくて、もっとたくさん人がいるところに。こうして、コタツに入って本の世界に入り込んで身体を動かすんじゃなくて、実際に、この2本の手と脚を思い切り動かして、外の空気を思い切り吸うんだ。
信じられない。
本当に十数時間でそうなるのだろうか。
私にはどうしてもそうは思えなかった。およそさっきまで読んでいた本の世界みたいに、それは自分の空想でしかないように思えた。私にとってそれは、どうしても非現実なままだ。
本当は、こうしているのが自分なんだろうな、と唐突に思う。
最近の日々はまるで魔法みたいで自分でも自分はこんな風だったかと疑ってしまうほどだ。私を見てくる皆の目は、とても綺麗でにごったところなんてどこにもなく美しくて、そして甘ったるい。
それが幸せなことであるかと言えば何とも言えない。
けれど間違いなく、私は飲み込まれかけている。
私の現在に。どうしようもなく、確実に。
そっと読んでいた本の表紙を撫ぜてみる。
買ったばかりなのに既にちょっぴり汚れたそれは、いかにも本当の私らしかった。
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私はあなたにとって、ほんの一瞬の、ただの通り過ぎでしかないから。
未来に期待するの、やめた。
はじめから知ってたはずだった。そんな幸福な未来なんて、ない。このままで居られるわけがない。もう未来を期待して、夢見るのも、未来に恋するのもやめる。
私はあなたのほんの通り過ぎでしかない。
一瞬、時間を共有するだけ。ほんの短い間同じ時間を共有するだけ。もし、そこに、たとえば愛が、芽生えたとしても。結局私は通り過ぎにしかなれない。恋だの愛だのなんて、そんなもんだ。
別に恋や愛が間違いだとか気の迷いだとかそんなこといってるんじゃない。ただ、想像以上に一過性が強い、そういうこと。
その瞬間、確かに私達は愛し合っている。幸福を感じている。その瞬間だけは、美しい未来が瞬く。未来は明るくて、ずっと、ずっとこのまま、ずっとこのまま。変わらないでこんな日々が永遠と続く、そう信じることさえ出来る。
でも実際、そんなことなんてない。
あの整った美しい顔が一生に付き合う何人かの女性の中の、たった一瞬にしか私はなれない。
私はただの通り過ぎでしかない。
ねえでも。
どうか通行人Bを覚えていて。
どうか。忘れないでいてくれますように。
未来に期待するの、やめた。
はじめから知ってたはずだった。そんな幸福な未来なんて、ない。このままで居られるわけがない。もう未来を期待して、夢見るのも、未来に恋するのもやめる。
私はあなたのほんの通り過ぎでしかない。
一瞬、時間を共有するだけ。ほんの短い間同じ時間を共有するだけ。もし、そこに、たとえば愛が、芽生えたとしても。結局私は通り過ぎにしかなれない。恋だの愛だのなんて、そんなもんだ。
別に恋や愛が間違いだとか気の迷いだとかそんなこといってるんじゃない。ただ、想像以上に一過性が強い、そういうこと。
その瞬間、確かに私達は愛し合っている。幸福を感じている。その瞬間だけは、美しい未来が瞬く。未来は明るくて、ずっと、ずっとこのまま、ずっとこのまま。変わらないでこんな日々が永遠と続く、そう信じることさえ出来る。
でも実際、そんなことなんてない。
あの整った美しい顔が一生に付き合う何人かの女性の中の、たった一瞬にしか私はなれない。
私はただの通り過ぎでしかない。
ねえでも。
どうか通行人Bを覚えていて。
1年缶に読む本の冊数が大した量じゃない私にとって
向こう1年はおそらく1番好きな作品
ほとんど映画を見ない私にとって
だいぶ先までおそらく1番好きな作品
あ。ちなみにプラダを着た悪魔も相当に好きだけれど。と、脱線して主張。
だってもうなんだかとっても運命みたいなんですよ。この作品。
忙しかったのにいつだったかなんだか急に突然にぽっかりと休みが出来たんだったか。それともテスト期間入りたてのお休みに、勉強しようと思ったけれど全然する気が起きなくてだったかは忘れてしまったけど。
気まぐれに。
お母さんにお願いして某レンタルショップに行ったのですよ。
因みにレンタルショップ、というか普通に本、CD、文房具なんかを販売していて…そういえばコミックレンタルもし始めましたね。あとCDコーナーは店舗によってセンスがだいぶ違う。
行って本当に適当にDVD選んで。
あ。ちなみにこのとき一緒に借りたアキレスと亀。大好きです。
映画も絵もなんでも、私北野さんの芸術全て好き。大好き。憧れ。
アキレスと亀…これもまた感想書きたいな。
と、脱線してまた主張。
アメリを選んだ理由はちゃんとあるんです。
緑色のDVDで目だってて美味しそうだったから。
あと宣伝文句を見て絶対に好きだと思ったんです。
彼女の好きなことはクレーム・ブリュレの焼き目をスプーンで壊すこと
多分、この続きが大事なんだろうけれど私はここがお気に入り。
こんなこと言っては本当に失礼もいいとこなんだと思うけれど、この文章、ちょっぴり私の書くものに似てる。
見たら、もう吃驚。大好きすぎました。大好き。
私が書きたくて大好きな世界観ってこれなんですよ。
吃驚するくらいシュールな笑いたまらない滑稽さ
…たとえばアメリのお母さんの死に方だったりリュシアンのコリニョンへの罵り
くどくなくてまるで変人担当、みたいなありがちなポジションを腐蝕してしまうほどの超越して当たり前な変人
…それはつまりアメリの存在自体で
くすくすと笑ってしまうような悪戯っぽいジョーク、かつ壮快かつ痛快
…オリンピック中継のシーンやコリニョンへの仕返し
これまた安っぽさを超越し腐蝕するくらいのロマンティック
…アメリとニノ―私の好みですけど。何か書きもはですよ、やらないかやりすぎるかすればいいんですよ。恋愛ものなんて特にそう。ホットチョコみたいにバカみたいにそう吐き気までもよおしそうなほど甘くするか、ガラス玉みたいに透明で美しくするか―やりきらないと。
声に出したくなるような言葉遣い
…この広い世界で起こっているのは、無数の小さな、本当にちっぽけなできごとばかりです
そして何より私がうらやましいのは押し付けがましくないハッピーエンド
ハッピーエンドをつくろうとすると、どうしても失敗する。
いえ、私はバッドエンドものは好きじゃないし滅多に書きません。
だってバッドエンドものなんてみていても面白くないじゃない。
けれど書くとどうしても閉口してしまう安っぽさ。
私の世界観とそっくりで。大好きで大好きで大好きで。
あとちょっぴりアメリは私に似ていて。
大好きでDVD買おう、と決めていた矢先。
たまたま立ち寄った雑貨屋さんに、本が、適当に。
適当という美しさでもって並べられていて。どの本も面白そうで見ていたらあったの。
アメリ!
吃驚して。けれどなんだかんだと吟味して、
ドキドキしながら結局買って。
読んで、映画のシーン思い出して…やっぱりとっても素敵!
読んでみておもったけれど映画はとっても素敵にアメリの世界観を出していたような気がする。一歩間違ったらただのふつうのちょっと夢見がちなお話。
それが、とってもとっても変につくってあったもの。素敵。とっても素敵。
さて。早くDVD買わなくちゃ!
この世に生を受けたからには、生き抜くと。
そう、決めたのだ。
けれど一方で、そもそも自分の今の生活は人として、い着ているといえるのだろうかとそもそもの疑問に話が戻る。生き抜かねばならない。それは私の中でひしと確認されたものであるとはいえ。自分が、生きた生活をしなければそれは結局そもそも無意味な話だ。
このようなことを考え私が黙っていたので、お客は首を傾げ、不思議かつ不機嫌そうな顔で私に一瞥をくれた。その表情で私もはっと我に返る。いけない。今は仕事中だ。いや、その仕事について、その正当性、いや自分いとっての必要性について考えていたのだが―心の気まらぬこのうちは、まずは目の前の仕事に集中しなければならない。こうと決めた事を全うしなければ。いつだって何だって、やることは真剣でいなければ。
取り組むことも、逃げることも
失礼しました、と深々と頭を下げ身体をすっと寄り添わせたら客は簡単に機嫌を直してくれた。私はこのような者を見ても決して馬鹿になどしたりしない。
今は、だ。昔はなんて男とは単純な生き物なのだろうと随分奢り昂っていたものだ。だが今はそんなことはない。それは別に私が慎み深くなったというわけではない。もっと簡単で、悲しいことだ。私はもはやそのような感情を思うこともない程に、この仕事になれてしまったのだ。
ああこの人は怖ろしく狼のような人だ、とも、この人はよからぬことを考える事もなくただ私と話をするためにこんなところまで通っている、他の人とは違うのだなとも、何ももう思わなくなった。この人がどうとかあの人がどうとか、全く考えなくなった。考えるのはただ、目の前の客にどうやってなるたけ多くの金を払わせるかということのみだ。
そんなことを寂しく思いながら、私は隣に横たわる男の顔を何となくぼうっと眺めていた。整った顔立ち。大層女に見初められるのではなかろうか、と思う。このお客は金を多く置いていく。ちょっと言う事をきけば小遣いくらいあっという間だ。―しかし綺麗な髪。女の私でさえ羨ましくなる。ところで―そこで男の腕が私を包んだ―この人はなんという名前だったか。
私はあるまじき失態をおかしかけている。客の名前が思い出せない。
このような仕事だし、そもそも自分の馴染みの客。名前が思い出せないなどありえない。しかし、思い出せないものは思い出さないのだ。いや、幾つか候補はあがっているのだが…
どうでもいいだろう。
私がこの客をただの客としてしか見ていないようにこの男も、たとえば私の名前に、興味なぞないのだ。この男のみているものはただの2本の手と脚、それだけだ。
死んでいく
そんな気がした。このままでは、こんな日々のままでは、私は死んでいく。いや今も死んでいっている最中なのだ。唐突にそんな事を思った。
ここに来てから、私は数度死のうとした。そして決行したことは一度もなかった。怖かったのだ。死ぬことが。
そして今はそのようなことは考えない。もう二度と。
私は生き抜く。そう誓ったのだ。
だめだ。もう未完しか出来ない。いいか、いいや!
そう、決めたのだ。
今生紺青のひかり
けれど一方で、そもそも自分の今の生活は人として、い着ているといえるのだろうかとそもそもの疑問に話が戻る。生き抜かねばならない。それは私の中でひしと確認されたものであるとはいえ。自分が、生きた生活をしなければそれは結局そもそも無意味な話だ。
このようなことを考え私が黙っていたので、お客は首を傾げ、不思議かつ不機嫌そうな顔で私に一瞥をくれた。その表情で私もはっと我に返る。いけない。今は仕事中だ。いや、その仕事について、その正当性、いや自分いとっての必要性について考えていたのだが―心の気まらぬこのうちは、まずは目の前の仕事に集中しなければならない。こうと決めた事を全うしなければ。いつだって何だって、やることは真剣でいなければ。
取り組むことも、逃げることも
失礼しました、と深々と頭を下げ身体をすっと寄り添わせたら客は簡単に機嫌を直してくれた。私はこのような者を見ても決して馬鹿になどしたりしない。
今は、だ。昔はなんて男とは単純な生き物なのだろうと随分奢り昂っていたものだ。だが今はそんなことはない。それは別に私が慎み深くなったというわけではない。もっと簡単で、悲しいことだ。私はもはやそのような感情を思うこともない程に、この仕事になれてしまったのだ。
ああこの人は怖ろしく狼のような人だ、とも、この人はよからぬことを考える事もなくただ私と話をするためにこんなところまで通っている、他の人とは違うのだなとも、何ももう思わなくなった。この人がどうとかあの人がどうとか、全く考えなくなった。考えるのはただ、目の前の客にどうやってなるたけ多くの金を払わせるかということのみだ。
そんなことを寂しく思いながら、私は隣に横たわる男の顔を何となくぼうっと眺めていた。整った顔立ち。大層女に見初められるのではなかろうか、と思う。このお客は金を多く置いていく。ちょっと言う事をきけば小遣いくらいあっという間だ。―しかし綺麗な髪。女の私でさえ羨ましくなる。ところで―そこで男の腕が私を包んだ―この人はなんという名前だったか。
私はあるまじき失態をおかしかけている。客の名前が思い出せない。
このような仕事だし、そもそも自分の馴染みの客。名前が思い出せないなどありえない。しかし、思い出せないものは思い出さないのだ。いや、幾つか候補はあがっているのだが…
どうでもいいだろう。
私がこの客をただの客としてしか見ていないようにこの男も、たとえば私の名前に、興味なぞないのだ。この男のみているものはただの2本の手と脚、それだけだ。
死んでいく
そんな気がした。このままでは、こんな日々のままでは、私は死んでいく。いや今も死んでいっている最中なのだ。唐突にそんな事を思った。
ここに来てから、私は数度死のうとした。そして決行したことは一度もなかった。怖かったのだ。死ぬことが。
そして今はそのようなことは考えない。もう二度と。
私は生き抜く。そう誓ったのだ。
だめだ。もう未完しか出来ない。いいか、いいや!