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逃避にみえることがすごい前進だって確信して生きてる。
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片思いの女性についての作品。
と、書かれていたがもうこれは完全に負け組女性の話。いや、まだ若いのだけど。

OLのテルコは、マモちゃんという男性にベタ惚れ。彼から電話が来れば長電話。呼ばれたら直にすっ飛んでいく。仕事も何も全く関係ない。マモちゃんが完全に最優先。おかげで仕事もクビ寸前。その行動は更にエスカレートしていく。

話に副題はないのだけれど、場面が変わるごとに短文が書かれている。何個かあげてみる。

ストーカーが私のような女を指すなら、世の中は慈愛に満ちてるんじゃないの
もうほんと、ほかにだれもいねえよってときに、呼び出してもらえるようでありたいっす
思い浮かべた百の不幸も、私に比べたら千倍のハッピーに匹敵するんじゃないだろうか

この3つが特に印象に残っています。なんていうか、凄く分かる。共感する。
この物語の主人公のテルコは、「どうせ私なんか~だから、そう考えればこれは凄い幸せだ。」みたいなネガティブなんだけれど、ポジティブ的な要素が凄い含まれている。あーあ、私と同じ。
そんな感じが上の文には溢れている気がする。

最初のは特に印象に残った。私でもストーカーというのなら深い愛だらけだ。私なんてまだまだという精神が凄い。なんだかんだ言ってテルコは充分、その類の要素が満載だ。
マモちゃんが風邪ならご飯を用意してあげる。本当はマモちゃんの家はとても遠いのだが。

2番目のやつ。あの台詞はテルコの友人、葉子の恋人。というか召使い役のナカハラ君。テルコと同じような人。これからの話でテルコと仲間関係的にちょくちょく出てくる。ナカハラ君が言った一言。
誰かに会いたい、けれどなんでだろう誰も相手が居ない。ああ、あいつがいたじゃないか。と言って呼び出されるようになりたい。というなんとも些細な願い。そんな感じが本当に等身大だと思う。

話が進むとすみれという女性が出てくる。実はマモちゃんはこの人に惚れている。この人が登場し不思議な関係図が出来上がってくる。マモちゃんはすみれさんが好きだが、すみれさんはマモちゃんのことをちっとも好きじゃない。寧ろスミレさんはテルコに興味があるらしい。実に面白い関係。これが凄く大切。

最後はなんだかテルコに感動しっぱなしだった。ナカハラ君は最後のほうで葉子のことを諦めてしまう。最後、別れ際には大声であんたの言っていることは全部きれいごとだ、と叫んだ。その場面に感動っ!さらにさらに・・・。
なんだかんだ言ってもマモちゃんは結局スミレさんを諦めない。それでテルコがとった行動というのはマモちゃんの友人と恋人同士になり、いつまでもマモちゃんの傍に居ること。マモちゃんがスミレさんを諦められないのならそれを応援し、傍で見守っていること。隣に居るのが自分じゃなくても彼が幸せなら・・・。という、その気持ちの強さ。計画したとき、楽しいとさえ思えることが、本当に凄いと思う。同姓として惚れる。

最終的に負け組女子に感動させられました!
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空中庭園、映画のDVDが借りれない。
見たいのに。


家族の話。
この家族は「何事も包み隠さず」をモットーにしている。
でもやっぱりそんなのは前書きだけで。みんなそれぞれに秘密を持っている。それをそれぞれの視点から書いた作品。

そそられたのは、それぞれの登場人物の話ごとに変わる副題。
物語の順番に書くと、
1. ラブリー・ホーム (姉)
2. チョロQ (父)
3. 空中庭園 (母)
4. キルト (祖母)
5. 鍵つきドア (弟の家庭教師・父の不倫相手)
6. 光の、闇の (弟)

チョロQが終わった辺りで、タイトルごとに視点が分かるのだと理解して、題名で誰かを想像しながら呼んだ。
空中庭園はお母さんだろうと分かった。ただ、後は全然違った。「キルト」で、お姉ちゃんに視点が戻り、「鍵つきドア」が弟、「光の、闇の」で物語の締めとしてのなんかかと思った。全然違った。
お婆ちゃんもそうだったけれど、何よりお父さんの不倫相手の「ミーナ」にも視点があたるとは思わなかった。
これが空中庭園の1つのポイントではないかと思う。
この家庭教師が現れることで、この家族が全員で気づかないフリをして隠していた、何かの皮が少しはがれてしまったような。
平穏にみせていた家族の嘘を見破ってしまうような。すごい存在。誰かの視点からこの人の登場を書いてはきっとおもしろくない。ミーナ視点だからこそおもしろい。それがすごく新しい感じがした。

さらに、タイトルになっているだけあって、「空中庭園」の、母の話はすごく圧倒的だった。これがもう1つのポイントなんじゃないかと思う。

お母さんの長期にわたるある意味とても怖い計画。
憎悪をどうやって解消するのかという、末の結果。早く結婚して子供を生んで、自分の家を作り、生まれ育った家を早く出て行くこと。そんなことを計画し、父に近づいたという、そのすごさ。物凄い圧倒される。
そんなことを普通、考えられるのだろうか、考えられないような気がする。考えてもきっと実行しない。けれどお母さんは実行したのだ。それがどのくらいの強い気持ちかということが凄く伝わってくる。次のキルトは、お母さんの方のお婆ちゃんの話。空中庭園をしっかり読み、平行させこれを読むことが凄く楽しかった。

まだまだ良い要素がたっぷり詰まっている。年齢が違う、家族それぞれの視点になって書いているので飽きずに読めることが1番良かった。今思うと、老若男女全部兼ねそろえている気がする。そんな空中庭園。自身を持ってオススメできる作品だった。
 
 

 蹴りたい背中。学校の図書館で見つけてやっと読めた。
この本が芥川賞を取った当時は図書館では貸し出し中で読めなかった。本当に、やっと読めた。

話の内容はクラスになじめないハツとやっぱりクラスになじめない余りもののにな川が交わる話。
にな川はオリチャンというファッションモデルの大ファン、という設定。そのオリチャンに出会ったことのあるハツに、にな川は興味を示す。いきなり家に呼ばれ、何があるのだろうというハツの気持ちをよそにオリチャンとどこで出会ったのか、と聞いたり相当なファンらしい。


高校生という年齢設定。その青春の瑞々しさが書かれている。筆者も若いだけあってその瑞々しさ、は随分伝わってきたと思う。
にな川に対する気持ちは恋や哀れみなどではなく、なんとも表現が出来ないような気持ち。そう、“蹴りたい背中“なのだ。
その背中を蹴ってやりたい、そんな感情がすごく新鮮だった。

最後のライブ(だったろうか。)のシーンが心に残った。
にな川とハツ。そしてハツの友達と本当に言えるのか分からないような、一応の友達。という3人の面子がなんとも不気味で、これぞ若いという醍醐味。そんな感じ。そして3人でにな川の家で一晩を過ごす、にな川はベランダで寝ると言ったり、そんなどこか変な感じがした。

変な感じ、それが思春期特有の微妙なモノ。
なんともいえない感情が溢れ出る年頃。それがにな川やハツにもしっかりとこびり付いている。

なんだかんだ言って、オリチャンに夢中すぎるにな川に対し、少なからず嫉妬を覚えるハツもまた可愛い。無駄なところで意地を張ったり、なんていうんだろう、なんかダメ娘って感じがするなハツ。そのダメっぷりが結構好きです。

本だけれども、何気に笑える要素が幾つかあったのではないかなあ、と思う物語。
やっぱり思春期の若さ、瑞々しさを綺麗に書いていると思う物語であった。
どうやら、この作品、世間一般では評価が厳しいようで。
友達も、うーん。な作品ですが。
私は結構好き。インストール。はっきり言って、3,4回読みました。
確かに、話の内容自体はいまいちかもしれない。それは確かに感じるところもある。

高校生活をドロップアウトすることを決めた主人公、朝子。
そして、取りあえずはじめた部屋の掃除。部屋の物を全て捨ててしまおうということで、迷った末捨てる決意をしたボロコンピューター。
ゴミ捨て場まで運んでいると、1人の少年がそれを引き取るという。
そのコンピューターを使って、ボロ儲けを企む話。


さて、冒頭で評価が厳しいといいました。しかし私は綿矢さんの文章が好きだと感じた。繊細。凄く綺麗な文章だと思う。
あの年代のこの思いそうなことをつらつらと書かれていて。

2人の年齢差もまた笑える一面。小学生と高校生。そこが気に入ったなあ。
後、おませな青木君も可愛かった。

ところで、私は文庫を買ったのですが、そこについていた「You can keep it」。
これは、結構大人っぽかった。たまにこんな話を読みたいなあって思った。
中高校生でもないけど、立派な大人でもない、大学生、という実は微妙だったりする歳で。それがなんとなく大人に成り立て!イメージがあって、その部分が気に入った。

話は確かに微妙かもしれないかもしれない。
やっぱり、「インストール」の本は、文章の上手さがポイントだと思う。

このお話についてはもう何回も語ってきて、去年の読書感想文もこの本で書きました。
兎に角それくらい大好きなわけです。
夏になると、それも、夏の夜や、気持がぼんやりしてしまうとき、独りぼっちのとき。
まあ、なんにせよ兎に角夏になると、どうしてもこの本が読みたくなります。凄い恋しくなるのです。
と、今朝思い立ち、読むかーということで読み始めたらたまらなくおもしろくてなつかしくて、部活で学校へ向う登校途中も読んでいました(!)
帰ってきて、ス/パ/王のスパゲティ(ミートソース)食べつつ、読み耽り、結局友達から特に誘いの電話も来ないので、ほんのさっきまで読み続けてました。

 

(余談ですが、物凄いスピードで読み終わったのは、この本を読むのがこれで4回目だったから。
初めての出会いは、中学校の図書館。読んでみて、読む読まないにかかわらず、この本が手元にないなんて、ありえない! ということでしばらくしてから、つ/た/やで結局買いました。<この段階で、文庫本に格下げされたことは言うまでもありません>買った時に読んだのとそれからしばらくして読んだので3回目、今回4回目、というわけ)


実は、今回も案の定ボロ泣きしてしまい、泣いた所為で重くなったまぶたを擦りながらパソコンと向かい合ってます。
本の内容について色々書きたいんだけど、やっぱり自分の好きなものって好きな理由を伝えられないものなんですね。


私はお婆さんものに弱い。“お婆さんと私と同い年くらいの女の子”設定が物凄く好きです。そんな設定、滅多にないんですけど。
お婆さんが主要で、ジャンル的には、「泣ける!」というのに凄く弱い。
「泣ける」っていうお話は基本的に好きじゃない、なんて明らかに先入観ですが。
けれどやっぱり、心から私が良いと感じ、ボロ泣きするのは、「泣ける」お婆さんの話。

本格的に感想書いてみようか。(ごめんなさい。文の形態かわりました!)

 




このお話で好きなところはたくさんある。
夜の雰囲気がしっとりと伝わってくるところや、自分と同年代であり、気持がよく分かるところ。
なにより、現実と非現実が面白く混ざり合うところ。

 

私は夜が好きだ。しかしながら私の思う夜は、重く、冷たく濃く恐ろしげではない。文中から言葉を拝借させてもらいたい。
そう、それは「ヨル」のイメージ。
夜が好きな人は珍しいらしい。珍しく見つけてみても全くうまがあわなかった。
その人曰く、「濃淡で暗くて静寂で、黒くて怖くてグロテスク、そんな夜が好きなの。私変わり者だから。」
だそうだ。
もしかして、文中のつばめが好きな夜はこんななのかもしれない。でも私はそうでないと信じたい。
つばめ達の居る夜は、決して静寂ではないし、重くのしかかりそうな黒じゃない。怖くもないし、無論グロテスクなんかじゃない。
重いが交差して、静かなのにうるさくて、黒じゃなくて星が輝いて、きっとどちらかと言うと藍色で。
怖いのではなく、ワクワクするような。
ともそさんが綴った文章は、私にそういっているように思われた。
けれど、この感じ方は人それぞれであっていいと思う。


ところで、この話は、現実的であり、また非現実である。
つばめの家や亨君の家、またつばめの学校の話なんかは、物凄いリアルである。
お金持ちのお嬢様育ちの子がダラシナイ人を好きになって、駆け落ち。
姉思いの弟は相手の男を追って、バイク事故。
クラスに幾つか点在するグループ。
どれもが本当に身近に聞こえる。唯、それと反対に、
明らかに可笑しい出で立ちで、特にキックボードなんかもって、屋上に現れた星ばあ。
しかもどうやら空を飛べる(らしい)。
などという非現実的要素もある。というか、「星ばあ」という存在が非現実である。
そんな2つの真逆な要素を兼ねそろえることで、ともそさん独特の、何ともいえない雰囲気が出るわけである。
全く、この感じにやられてしまった。


何だかんだいったけれど、疲れたので一言でまとめる!
「兎に角最後が泣ける!」
 

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